第二回 課題本その2 「「国境なき医師団」になろう!/いとうせいこう」
第二回目の課題本2冊目の話です。
2. 「「国境なき医師団」になろう!/ 著 いとう せいこう」
皆さんは、国境なき医師団について、どんなことをご存知でしょうか。
こちらの本は、男性向け日傘の販売収益を国境なき医師団に寄付したことから、国境なき医師団との関わりが始まったいとう せいこうさんが、国境なき医師団(以下 MSF)の紹介、メンバーへのインタビュー、いとうさんご自身の目で見た現地ルポの形式でMSFの活動を紹介してくださいます。
MSFは医療行為をただ行っているだけではありません。
彼らは医療行為の提供を通じ、自分たちの目で見た現地の様子や問題を、世界に対して伝える「証言活動」という行為を行っています。
この活動を第三者の意思を反映したものにならないよう、彼らは個人からの寄付だけで活動を行っているそうです。
そして、何よりも衝撃的だったのは、参加者の半数近くが、非医療従事者であるということです。命の危険と隣合わせな地域でも、彼らは医療行為を行っています。ノンメディカルスタッフのバックアップがあってこそ、それは実現できるのであることを、この本を読むことでしりました。
以下は、参加者の感想です。
海旧母
」
やっか
「どうも偽善的というか、こういう組織に対して良い印象を抱いておりました。
でも、自分たちの信念を貫いて行動し続ける人って、こんなにキラキラとしているものなのか!と、読了後はとてもポジティブになりました。ぜひなんらかの形で自分も関わってみたいです。」
読書会の証言活動に近いのが、この読書会の記録では、という話が上がりました。
今後、当読書会にご参加をご検討頂いている方が、どういう雰囲気で行っている会なのかを知ってもらえるよう、こちらの記録活動も頑張ってまいります。
第二回 課題本その1「読書会入門 人が本で交わる場所/山本多津也」
開催日: 2020年1月11日(土)
参加人数: 4名
課題本:
「読書会入門 人が本で交わる場所/ 著 山本 多津也」
「「国境なき医師団」になろう!/ 著 いとう せいこう」
2020年になり、第二回開催となった奥池袋読書会。
今回は新しく2名の仲間をお迎えし、4名での開催となりました。
また新たな試みとして、レジュメ制度を導入してみました。
今回は選書者である海旧母が、各章、各節ごとにキーワードとなる単語や内容をリストアップし、そのレジュメをベースに本の内容を紹介する、というものです。
これは、読書が苦手で読了を目指したができなかった方、また読んだ内容を他の方が「どう読んだのか」を知りたい方にはとても有益な方法と感じます。
実際、本を読みきれていない方でもその後の話し合い時に参加していただくことができました。
今回の課題本は2冊になっています。
そのため、紹介記事も2つに分けてご紹介します。
1. 「読書会入門 人が本で交わる場所/ 著 山本 多津也」
日本最大級の読書会である猫町倶楽部さんを主催されている山本多津也さんの本になります。当読書会の主催である海旧母も何度も参加しており、尊敬している主催者さんということです。
読書会に参加するということは、どういう効果を得られるのか?
読書会に興味がある、けれども参加するのはまだ勇気がいる....
そういった方に、読書会というものはどういうものなのか、ということを、
ご自身が猫町倶楽部を開始するきっかけから具体的にお書きいただいております。
実際、こちらの本を何度も読んでから猫町倶楽部に参加される方がいらっしゃるそうです。
その後の話し合いでは、こちらの本を読んだ上で「この奥池袋読書会というものをどういう読書会にしていきたいか」という話題が多く上がりました。
以下は、参加者の感想です。
たなやん
「この本を読んで、人生の喜びとしての読書であることを思い出しました。
勉強会のイメージを読書会に対して抱いていましたが、イメージが変わりました。」
かくちゃん
「人間の生活は、刑務所のように囲まれていると思う。そのため、無理矢理にでも、
全然違う人達とのコミュニティに入るのはいいことだと思う。
ただ、遊べる読書会は、もう読書会じゃないのでは?と感じた。」
ぜひ、読書会に行ってみたい、という方はこちらの本をお手にとってみてください。
第一回 課題本「82年生まれ、キム・ジヨン/チョ・ナムジュ」
開催日: 2019年11月16日(土)
参加人数: 2名
課題本: 「82年生まれ、キム・ジヨン」 チョ・ナムジュ著
記念すべき第一回の奥池袋読書会は、主催の海旧母が数々の読書会に参加してきた中で
読書会の和やかな雰囲気を壊してしまう可能性が高いと感じている一冊を課題本として開催されました。
今回の参加者は海旧母とやっかの2名であったこともあり、男性視点女性視点の双方から当課題本読了後の感想や感じたことを発表しました。
以下、参加者の感想です。
海旧母
「都内で開催される幾つかの読書会において、
都内で開催される幾つかの読書会において、その主たる参加者属性に類似性があるという印象を抱いていた。
具体的には、正社員・正規職員で20代~30代の独身者というものだ(狭い経験上のものだし、当然、例外もあることでしょう)。もちろん、これは何ら問題のあることではない。あくまでも自由参加の世界なのだから。
ただ、そうは言うものの、生活環境によってはハードルの高い自由参加と言えるかもしれない。例えば、幼児を抱えた夫婦などを思い浮かべて欲しい。
そこで、もっと多様性というものに配慮した読書会があっても良いのではと考えるようになっていった。そういった問題意識のもとで、本書を課題本に選んだのだ。痛烈な批判を言われてしまうことも覚悟してのことだけれど。
ここで私は「痛烈な批判を言われてしまう」立場にあることを認めざるを得ない。フェミニズムに理解を示し、「私は貴女達の側ですよ」などと言える立場にはない。
そして、ただ黙って耳を傾け、可能な限り改めようと努めることしかできない。ただ、それでも、多少なりとも良い方向へ変化していく可能性を信じたいし、読書はその機会を提供してくれることがあるとも考えている。
なお、多様性に配慮した読書会を実現するには、解決しなければならないハードルがいくつもある。少人数のサークルでは、すぐに実現させることは難しい。それでも諦めずに、少しずつ歩みを進めていくつもりである。もし賛同して下さる方がいらっしゃるのであれば、是非、お力を貸して欲しい。最後に、本書は「視点移動」が絶妙。読み手を作品世界に引き込む力がかなり強いということも、併せて付言しておきたい。」
やっか
「読み進めていくうちに、自分が過去に経験してきた女性差別についてを思い出し、
胸が痛くなるとともに、どうやったらそういうことを経験しない世の中になるのだろうかと考えていました。
ダイバーシティというのは、実現するのが本当に大変です。
まずは、ダイバーシティという考え方を忘れずに生活をしていくことから始めたいと思います」
韓国では映画化も決定している衝撃作、ぜひ一度お手にとってみてください。
メンバー紹介
未読者参加型について
奥池袋読書会は課題本型の読書会です。
開催期日までに課題本を読んできて参加するのが一般的です。
多くの課題本型読書会がこの定型を踏襲しております。
そしてそれはある意味、当然の帰結であり、いたって普通のことです。ただ普通のことではあるのですが、ある種の前提が隠れているとも言えます。
それは参加者が、「読書できる層」に限られてくるという前提です。その隠れた前提があるため、読書会への参加ができ難い層も生じていたと言えます。
では反対に「読書できない層」とは、どのような方々を指すのか。
大きく二つのケースがあると考えております。
一つ目は小さいお子さんなどのいらっしゃる「子育て世代」。
皆さん、口をそろえて言う。「そんな時間すらない」と。「仕事・家事で忙しすぎて、読書なんて夢のまた夢だ」と。
二つ目は海外出身の方々。一部のビジネスパーソンを除くと、「漢字が苦手で日本語の本が読めない」という方々がかなりいらっしゃる。
せっかく日本に滞在しているのに、本人にとっても私たちにとっても非常にもったいない。
このように、なかなか読書すらできにくい方々が大勢いらっしゃる。
一方で、分かっちゃいるが実現そのものへのハードルが高いということもあり、
今までそういった層へ読書会の方から参加を促せなかった。
つまり見方を変えれば、読書会への参加をアピールできる層は、まだまだ拡大の余地があるとも言い換えることができます。
では、「子育て世代」や「海外出身の方々」へも参加を訴求するにはどうしたらよいか。
そこで出した一つの方向性が、「未読でも参加できる形態の読書会」というものでした。
ここで皆さんは、次のような疑問を感じていることでしょう。
本当に未読でも大丈夫なのか。
参加しても何も発言できないのではないかと。
結論から先に言えば、多少のハードルはあるでしょうが、乗り越えられないことはないと考えております。
そもそも一口に「読んだ」といっても、そこにはいろいろな程度がグラデーションのように存在しています。
例えば、読んだけど理解がイマイチ。
他の本の内容が混ざってきたり、読んだことすら忘れてしまった場合などなどです。
つまり、「読んだ」と「読んでいない」との境界は曖昧であり、その差は意外と小さいのではないかと。
むしろ、課題本をテーマに語り合うという点からみれば、未読の方が既読本にとらわれることなく自由に発想を展開できる余地すらあると。
さらに申し上げれば、読書会は対話のための場であり、対話というのはそれぞれの差異から始まるのではないかと。
そして差異から始まるのであれば、未読者というのは、読書会に新しい光を差し込む可能性を持つ存在なのではないでしょうか。
課題本型を採用する趣旨
<近日公開>